理想の瞳を持つオトコ ~side·彩~
誘われるままに、彼の舌にからみつく…

私の舌。


あんなに、おどおどしていたのが嘘の様に…

積極的に彼を追いかけている。



「可愛い」



熱い吐息と共に、唇に吹き込まれる…

甘い、甘い、彼の囁き。


髪を撫でる手も、頬を撫でる仕草も、顔のラインをなぞる指先も、全てが心地良くて…

ドキドキと高鳴る胸の心拍数が…

彼と触れ合っている、全ての部分から生まれた熱で、体温を上げていく。


初めての感覚に、胸は煩いほど高鳴っているのに…

不思議と感じる、安心感に包まれて、口づけを重ねる。


薄暗いままの部屋の中で、お互いの存在を確かめ合うように…

瞬きする時間すら、惜しみながら…

見つめ合ったまま、視線を絡ませあって…

唇を、求め合う。



こんな状況になった理由や、聞きたいコトは、たくさんあるはずなのに…

甘い熱に浮かされて、思考回路が働かない。


うまく纏まらない言葉の代わりに、より深いキスを求めた。
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