理想の瞳を持つオトコ ~side·彩~
役者紹介のページを開くと、イッセイの顔写真は4番目に載っていた。


1番目は〔笹森 正重(マサシゲ)]さんで、イッセイのお爺さんらしい。


人間国宝や文化勲章受賞と書いてあって、驚く。


…きっとこの先、人間国宝の舞台なんて縁がないかもしれないし、しっかり観ておかなくちゃ。


2番目は、お父さんで、当主である〔14代 笹森 伊之助]さん。


3番目が、お兄さんの〔笹森 秀晴(シュウセイ)]さん。


…で、4番目にイッセイってことは…

簓流狂言·笹森伊之助家、本家の次男ってコト?


そんな人とキスしたり、今夜の約束したりしたなんて…

とても現実とは思えなくなってくる。


ひょっとしたら、そうやって、いつもナンパしてるとか?

適当な相手と一夜だけっていうのが、面倒臭くなくて丁度いいとか?


…私、楽しめる程の経験値もテクニックも無いんだけど、早めにカミングアウトすべきかな?

いやいや、何、スル気満々でいるの!

ブルブルと首を振る。


でも、伝統芸能人じゃなくたって…

あんなに素敵な人と一晩過ごすなんてコト、これからの人生で起こるとは思えない。


マキ先輩も言ってた。


「旅の恥はかき捨てて、オトナノアソビを楽しんでおいで」

って。


他の誰かに抱かれることで、洋介を忘れられるかもしれないし。


それが出来るのは…

何もかも忘れさせて、何も考えられなくなるキスをくれた…

イッセイだけかもしれない。


例え、私が不感症だとしても、一回の痛み位、ガマン出来る。


何も起こらない平凡な人生を変えるには、それ位の大胆な行動に出なきゃ!


意を決して、舞台の始まるのを待った。
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