理想の瞳を持つオトコ ~side·彩~
お、お風呂って、どうすればいいんだろう?


部屋に帰ってきて一番悩んでいるのは、そこ。


なにせ、洋介一人しか知らない私。


まして、ホテルのBARで待ち合わせなんて…

『いかにも…』ってカンジの、シチュエーションの場合の…

常識とか、作法とか、そんなの全く分からない。


…先に入っておくべき?


気合い入り過ぎって、引かれるかな?



散々迷ったあげく、汗臭いよりはマシだろうと、お風呂に入ることに決めた。



アメニティグッズに添えられたバラの入浴剤をバスタブ入れると…

ドライフラワーになった花びらが降ってきて…

なんだか特別な気分にしてくれる。


着ていた服を脱ぎ、下着を下ろすと…

躰が潤んでいたことを知り、恥ずかしさが込み上げる。


そして…

イッセイが欲しかったんだと、実感した。


念入りに躰を洗い…

この旅行のために買った、少しだけセクシーなデザインの下着を身につけ…

少しだけ背伸びした、黒のワンピースに袖を通す。


いつもの私なら、決して選ばない組み合わせは、この旅行に特別感を出したくて買ったものだったけれど…

まさか、本当に特別な一夜の為に着ることになるなんて、思いもしなかった。


メイクをして、髪をアップにまとめると…

約束の22時まで、あと15分と迫っていた。


「行くわよ、彩」

鏡の中の自分に告げて、立ち上がる。


シルバーのパンプスに脚を通して、背筋を伸ばし…

深呼吸をして、部屋を後にした。
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