理想の瞳を持つオトコ ~side·彩~
席を立って、肩を抱かれながらBARを出ると…

エレベーターへと誘導される。


思い切って、

「…私、今夜、ここのホテルに泊まってるんです。
もし良かったら…」

「断る」

私の言葉を遮った、イッセイの表情は険しくて…

ひょっとして、女から誘うなんて軽蔑された?


背中を冷たい汗が流れる。


「初めての夜を、惚れた女に負担させたくない。

これは、男のプライドや。

せやから…
そこは遠慮せずに、甘えて欲しい」

肩を抱く手に力がこもり、ギュッと抱き寄せられる。



そうして案内された部屋は…

そこそこのグレードのハズの私の部屋とは、比較にならない広さで…

あの部屋への、誘いに乗らなかったイッセイに、感謝した。


「すっご~い!!
広~い」

思わず、キャーキャー騒いでしまう私に、


「堪忍な。
いちびってスィート取ろう思てんけど、急やったからジュニアしか空いてへんかってん」

ゴメンと、手を合わせる彼にブンブンと首を振る。


「…素敵です」

『いちびって』の意味が何なのかは分からなかったけれど…
たった一夜限りの私の為に、気遣ってくれたことが何よりも嬉しかった。


「気に入ってくれた?」

コクコクと、今度は縦に首を振る私に…

「俺のことも気に入ってくれるとエエんやけど」

ギュッと背中から抱きしめられ、首筋に唇が寄せられた。
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