理想の瞳を持つオトコ ~side·彩~
他愛のない会話をしながら、お土産物屋さんの通りを歩いていると…

「ごめん、ちょっと電話。
…兄貴」

携帯電話をヒラヒラと振りながら…

『参った…』とでも言いたげな顔をする、イッセイ。


手を繋いだままでは、会話が聞こえてきてしまいそうで、いくら何でもそんな失礼なコトはしたくないから…

すぐ目の前にあった、ちりめん小物を売っているお土産物屋さんを指差し…

「見てるね」

と言って、手を離した。



なんとなく入っただけのお店だったけれど…

巾着に財布、簪や髪飾り、くるみボタンなど、可愛らしい小物の数々に、目移りする。


その中で、私が手にしたのは、赤がベースとなった、ちりめんくるみボタンが付いた髪ゴム。


これなら仕事中でも身に付けられそうだと、自分用のお土産に決めた。


レジに並ぶと、スッっと頭の上からお札が出てきて、お店のおばちゃんが受け取ってしまう。


「ちょっと…」

振り返ると、イッセイが、買ったばかりの品物が入った、小袋を受け取り…

「おおきに」

なんて言ってる。



「お金、ちゃんと払うから」

財布を握りしめて、そう言うと…

「小銭が欲しかっただけやし、気にせんとって。
どうしても気になるんやったら…
躰で払って貰おか」

なんて言いながら、財布を持つ手を引き、抱き寄せる。


「ちょっ、ちょっと…
止めてよ、こんな所で」

恥ずかしさで、離れようともがくけれど…

腰に両手を回して、がっちりとロックしたまま…

「暴れへんのやったら、離す。
ほんで、代わりに手ェ繋ぐ。
分かった?」

なんて、有無を言わさない、交換条件を出される。


周りの視線や、耳元で話される刺激に耐えられず、コクコクと頷くと、耳元に唇を寄せてきて…

「エエ子やな。
素直なアヤは可愛え。

こんな所やない所で、その素直な躰に払うて貰うよって、安心しよし」

耳元に寄せた唇で、甘く囁いて…

こめかみにキスする。


顔がみるみる真っ赤になっていく私に、

「今日も暑うて、かなんなぁ」

なんて言いながら…

腰から離した手を繋いで、何事も無かったかの様に歩き出した。
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