理想の瞳を持つオトコ ~side·彩~
仁王門をくぐり、西門を抜け、鐘楼を見ながら三重の塔へと進むと、思わず感嘆の声が上がる。


「おっきいね~」

「昨夜も聞いたけど」

ニヤリと笑うイッセイ。


「違う!この塔の話!」

恥ずかしさで、焦って語気を強めると…

「解っとるし」

と、サラリと返され、肩透かしを食らったと思っていたら…

「この三重の塔の高さは30mあるんや。
日本最大級の大きさであることは、間違いないな。

ちなみに国の重要文化財に指定されとってな…
中には、大日如来像が祀られとるわ」

スラスラと説明してくれる、イッセイ。


「すごーい!!
ガイドさんみたいで、カッコいい!」

と、ハシャぎ声をあげながらも、尊敬の眼差しを向けると…

「えっ?ホンマか?ほな…

元々は、宝亀9年に夢のお告げを受けた延鎮上人がな…

音羽の滝いうて、本堂の先にあるんやけど、そこの滝上に、草庵を建てたんが始まりなんやで。

その後、坂上田村麻呂が延鎮に帰依して、仏殿を建立した後に、本尊である千手観音を祀ったんが、今の清水寺や」

淀みなく、スラスラ出てくる解説に…

「うん、すごい。
でも、全然、何言ってるのか分かんなくて、ゴメンね」

私の脳ミソではついていけなくて…

結局、一生懸命説明してくれたイッセイを、ガッカリさせてしまった。

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