理想の瞳を持つオトコ ~side·彩~
「えっと…本当にごめんなさい」

予想以上に、テンションが下がってしまった、イッセイ。


こんなことなら…

もっと真剣にガイドブック読みながら、勉強しておくんだった。


「…チューしてくれたら許す」

ボソリと呟くイッセイに…

「えっ!?」

幻聴か何かかと、もう一度、訊き直すも…

「アヤからチューしてくれたら、許す。

せやなかったら、もうガイドなんかせぇへん」

スネた口調で、唇を尖らせたイッセイ。


「ほら、早う」

高い位置にある腰を落として、目を閉じて待っている。


立ち止まったままじゃ、周りの観光客の人達だって、不審に思うかもしれない。


精一杯の勇気を振り絞り…

そっと近づいて、ほっぺにチュッと…

一瞬だけ唇を押し付けた。


「…なんや、やっつけ仕事みたいやったで?」

不満そうなイッセイに、ブルブルと首を振って否定するも…

後頭部と腰に手を廻され、荒々しく唇を奪われる。


体温が伝わる舌が、唇を割って入り…

私の口腔を動き回る。


声が漏れてしまわないように…

必死に、イッセイにしがみつくと…

妖しく響く水音と共に、唇が離れ…

「これ位はしてくれないと、キスのうちに入らないからね?」

息の荒くなった私を見下ろしながら…

ニヤリと笑う、イッセイには…

この周囲の視線は、目に入っていないかのように見えた。
< 79 / 151 >

この作品をシェア

pagetop