理想の瞳を持つオトコ ~side·彩~
舞台から帰れないように、私の手を引っ張っておちょくるイッセイの手を引っ張り返しながら…

なんとか本堂側に戻ると、深呼吸して気持ちを落ち着かせながら、

「バク転カッコ良かった」

と、伝える。


本当は…

青空が広がる、あの佇まいに、目を奪われたのだけれども…

気恥ずかしくて、最もらしい部分だけを褒めた。


「おおきに。

トンボ返りする演目があるよって、子供の頃に練習させられたんや」

照れくさそうに、はにかむイッセイに、ギュッと抱きついて…

「カッコ良かった」

もう一度、繰り返す。


イッセイは、ギュッと一瞬だけ強く抱きしめ…

それから、頭をポンポンと撫でる。


「素直に
『惚れちゃった』
って、言えばエエのに」

そう言って…

私の顔の輪郭を、優しく指で撫で…

顎を上に向かせると…

ゆっくりと、唇を重ねてきた。


カッコ良さにクラリと来たのか…

惚れちゃったのかは、分からないけれど…

ギュッっでも…キスでも何でも良いから、イッセイに触れたかった。


…ううん。


本当は、あの瞬間…

『イッセイに抱かれたい』

そう思っていたんだ…
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