理想の瞳を持つオトコ ~side·彩~
写真撮影をしあったカップルと分かれ、『奥ノ院』をそのまま道なりに進むと…

「ココから、舞台の骨組みが見えるやろ?」

そう言って立ち止まった、イッセイの言葉の通り、木で組まれた上に、立派な舞台が張り出しているのが見えた。


「ここは、『音羽の滝』言うてな…
三筋の滝が流れてるやろ?」

「うん」

「左から順に…
延命長寿、縁結び、学業成就いう、別々の御利益があんねんけど…

欲張らずに一筋だけ選んで飲むと、願いが叶うて言われてんのや。

古くは流れ出る水が、黄金水だとか、延命水と呼ばれてて…
清めの水として、尊ばれていたことに寄るんやけど…
時代に則して、いつの間にか変わったみたいやな」

笑いながら、柄杓を差し出すイッセイ。


でも…

首を振って断る。


『これ以上、縁なんか要らない』

って言った、イッセイの前で…

縁結びの水なんて、選べないもん。


そんなあからさまなコトなんかしたら、アソビなんかじゃなくなる。


きっと…

『面倒くさいオンナ』か…

『夢見る勘違いオンナ』だって思われて…

簡単に、終わっちゃう。


私の考えを裏付けるように…

イッセイは、延命長寿を選んで、口をつけている。


チラリと、私に視線を向けたイッセイに…

梟手水鉢でのコトを思い出し、慌てて口を手で塞ぐと…

「アヤは、何を期待したんかな?
ヤラシイなぁ」

イッセイはニヤリと笑って…

「リクエストは、ベッドの上でどうぞ」

と、耳元で囁いた。
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