中指斬残、捌断ち儀


ほどなくして父親の叫びを聞いた近隣住民が駆けつけるわけだが、みな赤子の目を見るなりに同じ末路を辿った。


唯一生き残った村人――小心者でも野次馬根性があった村人は遠目からその様子を眺めていたので事なきを得た。


人が狂い死ぬ地獄からの脱却を果たしたその者は、早々に村の住職に話をしに行ったそうな。病気も厄介ごとも寺(神)頼みな世では当たり前の対応であるし、ああ、確かにこの件は神職に携わるものでしか対処しようがなかろう。


死屍累々、血の池地獄と化した豚小屋に足を踏み入れた住職は三日三晩、何人たりともここに近づくなと注連縄(しめなわ)で囲った。


鬼子が出たぞ、禁忌の子だ、と村の者が災いを恐るる中、提言通りに三日三晩後――四日目の朝に豚小屋ごと死体を火葬した住職が帰ってきた。


< 1,000 / 1,127 >

この作品をシェア

pagetop