中指斬残、捌断ち儀
その腕には、顔の上半分にお札を張り巡らせた赤子を抱えて。
『この赤子の目は、地獄に通ずる』
村人を集めた住職は言った。
『その目を見た者は、皆すべからく地獄に招かれ、自害しよう』
ならばそんな子は殺せと誰かが言った。
『できぬ。地獄に通ずるこの子を殺せば、災いがこの世に溢れるだろう』
なればの話、地獄を飼い殺すしかないと住職は言う。
その寿命がなくなるまで、生かしておこうとした決断に、『では、誰が育てるのか』との擦り付け合いが始まったが、結局は飼い慣らせるその住職が適任であると話はまとまった。
――さて、おぞましい目を持つこの赤子だが、もう二度と災いを振り撒かないように寺の物置に隔離をされた。