中指斬残、捌断ち儀
無論、その禁忌の子に対しても同じような言葉が飛び交った。
『見なければ大丈夫』と知ったどこぞの生き残りのせいで、隔離部屋(物置)の外から罵倒を毎日浴びせられる。
言葉を知るには十分な歳となったその子だが、外から施錠された部屋の中では罵倒を甘んじて受けるしかなかった。
『禁忌の子め』『地獄に還れ』『お前のせいで』『お前なんかいなければ』『死んでしまえ』
『忌み子が、なんで産まれてきたんだ――!』
「……」
数々の罵倒があっても堪えなければならない。一生、外には出られないのだからと――思っていた矢先のことであった。
物置の扉が開くのは一日に二回だけ。それも、配膳用の小さな扉でしかないのだが、その日は施錠が外されて人ひとりは出入りできる開きがあった。