中指斬残、捌断ち儀
開いた扉から入ってきたのは住職であった。
物置に入るなり、禁忌の子の目の前で倒れる。
体の至る箇所に裂傷があり、爪を剥がされ、目に火鉢を当てられたその姿。ここまで歩いてこられたのは奇跡か、執念か。
『――、呪え』
なかなか村から出ていかない住職に対してとられた“強行策”。
『呪え』
出ていかないから“こうなるんだ”とした戒め。
『思うがままに呪え』
良くしてきた村人からの仕打ちに住職は恨みを持った。
神職たる自分がよもや、こんなことをするとは誰も思わなんだ。復讐心など抱いてはいけぬが――この恨みはどこで晴らせばいいのだ?
恩を仇で返され、しかもか寺を燃やすと言われ、半日もしない内に全てを奪われてしまうだろう。