中指斬残、捌断ち儀
だから、目に物を見せたがった。
少ない余命で出来る因果応報。ただでは死なぬと、住職は禁忌の子の目に貼り付けた札を剥がしていった。
『お前とて、奴らが憎いであろう』
もう好きにしてみせろと、子の呪縛をほどいていく。
『呪え、呪え。皆、呪え。産まれてはならぬお前が産まれてきたのは』
“そのためなのだから”、と住職は笑いながら息絶えた。
「……」
死体となった住職を見て、その子は特に感慨耽ることもなかった。
ただ、住職が死に際に残した呪詛が頭に残る。
呪い、呪えと。
「ああ――」
巣立つ鳥の気分。
もう自由にしていいんだと、子は外界へと足を出す。
行き着いた村ではちょうど、寺に火を放とうとする村人でごった返していた。