中指斬残、捌断ち儀
阿鼻叫喚の地獄絵図ができあがったのはほどなくしてだった。
焼死、縊死、溺死、斬首。十人十色な死因だったが、皆等しく“自殺”であった。
体に火をつける者、縄で首を括る者、井戸に身投げをする者、鉈で首を切る者。
死にたくない死にたくないと口々に泣き喚きながら、けれども本能に死ねと促されて地獄へと旅立つ。
圧巻たる光景の中、佇む子は笑う。
あまりにも楽しくて、腹が捩れて涙が出るほどに笑ってみせた。
あれだけ自身に罵倒を浴びせていたものが、こうも簡単に死んでしまうだなんて。
「お前らが、“そうであれと言った”んだろうが」
禁忌の子であり、地獄の住人。人を呪って殺す、産まれてはいけない子であったと――“俺をそう定義していたじゃねえか”。