中指斬残、捌断ち儀
「まったく、渉くんは鈍いな」
「にぶ……」
「にぶにぶ100%。――内訳、鈍感80%。天然20%」
「鈍いとはたまに言われますが……わっ」
いきなりに肩を組まれた。さざめきさんが背中を丸めて、僕の体を寄せる。さながら、これからいけないことでも教えるかのような姿勢で。
「北は北極、南は南極まで。さざめきさん診療所は世界各地にあるのだよ」
「ダウト100%」
「当たり100%。――内訳、南極にはない80%。それなりに各地20%」
「……」
北極にはあるのか?
いやでも、さざめきさんは色んなところに行ける能力があるから、人気のない建物で診療所を開いていてもおかしくはないけど。