中指斬残、捌断ち儀
曰く付き物件のような、暗い廊下。こそりと玄関に顔だけ覗かせてみれば、靴箱を見た。
靴箱の上には赤い置き物(後に赤べこと知る)とこけし、そうして、水晶の原石に龍の彫りをほどこしたピカピカがあった。
宝石があると思った僕が、もっと間近で見たいと、ついつい玄関に――家に足を踏み入れたわけだけど。
「何をしているっ!」
伯母さんの怒鳴り声に心臓がはね上がった。
「まだ入るなって言ったでしょう!」
声に相応しい鬼の形相、つり上がった目が怖くて、注意されて下がったではなく、その顔で近づいてきた伯母さんにおののき下がる。
家の奥から来た伯母さんは柄杓(ひしゃく)を備えたバケツを持ってきており、僕を威圧する拍子に、バケツの中にあったろう水が玄関先に跳ねた。