中指斬残、捌断ち儀


「きょうね、さんすうのテストがあって、いっぱいとけたん、です」


たどたどしい敬語はご愛好か、五十鈴さんは敬語使わなくてもと言うが、身に付いてしまったものは抜けない。伯母さんの“躾の賜”というやつか。


いつしか『渉はそんな子なんだ』と悟ったらしい五十鈴さんは僕の敬語に対して何も言わなくなったわけだけど、それで親しみがなくなることはない。


僕の話に「お前は計算が得意だもんな」と返した五十鈴さんが、膝をついて目線を同じくしたところで。


「ん?」


僕の両頬に手を置いた。


常温たる五十鈴さんの手さえも、冷たいと思える。


「熱射病……、いや、風邪か」


神妙な面持ちの五十鈴さんがペタペタと僕の顔全体に触れて、熱の有無を確かめる。


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