中指斬残、捌断ち儀
家族として、身近な頼れる存在はいるぞ、と僕を安心させると同時に、五十鈴さんに遠慮がちになった僕――離れつつある距離を縮める目的もあるかもしれない。
……、他人との距離の取り方は難しいですね、本当に。
こちらは良かれと思っても、あちらに心配させてしまうだなんて、思いが食い違う。
「ないですよ。五十鈴さんがこうして来てくれるだけで、すっごく助かりますから」
食い違うんだ。
五十鈴さんが僕を助けようとする以前に、彼女はもう僕を助けているような状態なのに。
頼ることはない、五十鈴さんは言わずとも“そばにいてくれるから”。
「何にもしなくても、五十鈴さんは僕の家族ですから」
“それだけでありがたい”んだ、と本心から笑ってみせた。軽くしか表現できないものでも、五十鈴さんは「そうかっ」と倍の笑顔で返してくれる。