中指斬残、捌断ち儀


――


「みぃちゃった、みぃちゃったー、ってか?」


シャワーを浴びたあとに部屋に戻ればそんな声。


言わずもがな、空気が読めない藤馬さんが僕の自室であぐらかいていた。


いつもならば、「来たんですか」と出迎えの言葉なり、もてなす僕だけど、あんなことを見られた後では言うべき言葉が見つからなかった。


「……」


頭に乗せたままのタオルでわざと顔を隠しながら、藤馬さんに背を向けて壁際に座る。


このまま何も言わずに、いつものような他愛ない話をしてくれればいいのに。


「殺しちゃえばー?それとも俺がやってあげるー?」


「……」


どうせやらないだろう、と僕は反応せずにいた。


< 442 / 1,127 >

この作品をシェア

pagetop