中指斬残、捌断ち儀


泣かないなら苦しくない。悲惨も不幸に繋がらない。


苦痛が当たり前として捉えられた今になってしまったからこそ、どんな理不尽も受け入れられた。


「子供なら親の言うことを聞けっ、そう教えたわよね!なんで出来ないの!出来て当たり前のことをしなさいよ!

あたしは――“あたしだって、そうしてきたのに”!」


認識した理不尽が、僕を傷つけられないとやっと懲りたらしく、バケツを手にする。


また水かけをするつもりなんだろう。


そう思ったら、ふと、頭につらつらと文字が浮かんできた。


恐らくは、これが僕の叫びたかったことなんだろう。


伯母さんに向けて、理不尽に向けて、泣くことができない僕のせめてもの“感情表現”。



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