中指斬残、捌断ち儀


それが春夏秋冬渉として叶ったこと。


どんなに罵られようが、叫ばれようが。嫌なことをされ、苦しいことをされても。辛くても悲しくても。


「ああ……」


ほらみろ、泣いてないよ、僕――


泣かなくてもいい家庭、それは“僕が泣けなくなったことで達成されたんだ”。


人間らしくないことを藤馬さんに言われて、ついつい“それらしくなったけど”、僕のあり方はなんら間違ってなかったんだ。


数多の苦痛で壊れる前に感情を閉じた。――もしくは逆で、“もう壊れたあとなのか”。


どっちでもいい、このさい。おかげで僕は、無理難題と思われた幼い頃の願いを叶えていたから。


< 495 / 1,127 >

この作品をシェア

pagetop