中指斬残、捌断ち儀


さざめきさんの検討通り。なれば、その石段を上る前にさざめきさんを呼べとのお達しがあったが、そこまで迷惑かけられないと電話する気はなかった。


医者をしているさざめきさんを僕個人の都合で呼ぶなんて……とした気の使い方をしたんだけど、さざめきさんはそれすらも見抜いていた。


『偶然100%。――内訳、たまたま70%。びっくり30%』


と、山間の道であくまでも彼は偶然を装うが、嘘をつくのが下手な人だ。


『僕のため』が『僕のせい』に繋がると分かっているのか、さざめきさんは何かしらしてくれることを全て、『僕がやりたいから』なんて自分好きにやっていることだからと飄々としていた。


五十鈴さんと同じように。それはあくまでも、『私がしたいから』って、僕に負担をかけないようにしてくれている。


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