中指斬残、捌断ち儀


僕を知る藤馬さんだからこそ、本音が出るんだ。


ひた隠しに、“僕の幸せを望む彼女たちに顔向けできない顔”が出せることは――ひょっとしたら、ガス抜きみたいな感覚があったのかもしれない。


わがままだ、僕は。


いっぱいの幸せがあるのに、悲しい顔をするなんて。


五十鈴さんたちは家族であり、安心できる居場所で、彼女たちとの関係を続けていきたいと思うのは紛れもない本心だ。


けれども、本音。
このままではよくないと、囁いてくる。


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