中指斬残、捌断ち儀
弁えなければならない、人間らしくあろうとするだなんて、人間(伯母さん)を壊した僕がなんで思えよう?
石階段の真ん中より少し先。伯母さんを見る度に、『ああ、これは僕の戒めだ』と受け取れた。
さざめきさんのおかげで、体に不調は出ないほど、伯母さんがいることに慣れた僕でも、あの日のことは忘れない。忘れないのに、伯母さんはそこにいた。
赤ん坊をあやす母親としてだが、僕にはこう聞こえてしまう。
“あんたのせいだ”
それを表現できる頭が壊れたから、壊れたなりに伯母さんはあそこにいるんだろう。
ババアの影を引きずっていると藤馬さんは言った。影、常に僕の後ろにいるような中指の呪いもまた然りで。