中指斬残、捌断ち儀
呆れる、諦めた。
何をしてもお前はそんなんだな、と諸手をあげられることに恐怖した。
家族を居場所を失いたくはない、やっとそう思えてきたのに、ここでまた何かを失うだなんて。
『最大の不幸じゃんかよーっ』
「っ……」
いない人が高らかに叫ぶ幻聴を聞く。
そうだ、不幸せを願った僕には“願ってもいないチャンス”なのに、どうして恐怖する。むしろ、歓迎すべきものなのに――だからなんで、体は震えるんだ!
「わた、渉、いったい……」
いぶかる彼女に何を言っていいか分からない。まだ暑い季節じゃないのに、汗が首筋に伝ってきた。
何がしたいのか、分からない。自身の望みが見えなくなってきた。