中指斬残、捌断ち儀
頭がこんがらがる。
幸せ。不幸せ。
対極たるそれらは、結局どちらも“居心地が悪いこと”でしかなかった。
不幸せは言わずもがな、そんな逃げ出したくなるような感情――後ろを向けば口を開けた魔物がいるぐらいに延々と追い詰められるような安息を奪われてこそ、僕はそれを贖罪として受け入れていたけど。
「大丈夫か?医者に、なんなら、さざめきを今すぐ呼ぶが……」
僕が考えていることを知らない五十鈴さんは、そんな言葉をかけてくる。
眩しい笑顔ではなく、心配顔になった彼女は我がことながらに――僕になおも優しくする。
誰かからここまで心配されるとあっては、よほどの幸せ者であろう。
幸せ。
勘違いしたままだからこそ伸ばされた手が、綺麗すぎて掴めない。