中指斬残、捌断ち儀


見目の綺麗さではなく、その伸ばされた意思に宿る想いが温かさを可視させているようだった。


それを拒絶するなんて、どんな神経だと怒りたいが――この想いを受けとることはできない。


応え、られないんだ……。


五十鈴さんの期待に、その温かさに似合う心を僕は持てない。


僕の心は凍結していると、前に藤馬さんは言っていたが――ああ、なるほど。僕は氷だからこんなお日様みたいな人が怖いのか。


五十鈴さんは、かけがえのない居場所。それは変わらない、変わらないけど、その優しさが痛い。


不甲斐ない自身を自覚し、どうしようもない自分を伝えられ、汚さを浮き彫りにさせられるようだ。


腐った水の氷。
故に、五十鈴さんに触れてほしくない。彼女にとって有毒でしかないはもとより――溶けて流出した水を見て、失望させたくなかった。


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