中指斬残、捌断ち儀


そうして、五十鈴さんは――


「そのことに見向きもしなかった臆病者だった……!」


心すらも痛めつけていた。


拳はあくまでも僕を殴る姿勢なのに、当たらず、そうしてこうも五十鈴さんが自身を罵倒する度に殴打してくるのだから、まるで――


「最低だ、どうしようもない屑だ!見たら最後、私は何も救えないと自覚してしまうからって……見ないことでなかったことにしていた阿呆んだらだ!」


五十鈴さんが己を殴っているようにも思えた。


世話焼きお節介。
他人の迷惑にしかならない。

馬鹿だと間抜けだと、救いようがないやつだと、彼女はそんな自分を罵倒と共に痛めつけているようだった。


< 801 / 1,127 >

この作品をシェア

pagetop