中指斬残、捌断ち儀


渉にそれが分からないわけがない。


だって、こいつとは“長い付き合い”で――


「とうまさん……だから……」



故に、だから。
渉は分かっていた。


「“藤馬さんだから、頼めるんです”……!」



憤りを感じた。
何を言っている?何を確信した?なんでそんな顔をして。


「寝ぼけたこと言ってんじゃねえぞ、ガキがっ!」


細い女みたいな背中を踏みつけた。前屈気味の姿勢が一気に崩れて、べしゃりと吐き出したガムみたいに地にへばりつく。


「笑えねえ、マジ笑えねえよ、おい!気持ち悪い気持ち悪いんだよっ、クソグズがっ!」


再開された踏み付けは、渉の背中に足跡をつける。


憤りのままに、鬱憤の発散は暴力に変換された藤馬の足蹴であるが――渉の言ったことが、頭から離れない。


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