中指斬残、捌断ち儀


「わっかんないかなぁ、おまえ、俺の何を見てたの?ええ?俺がてめえの願いを聞いたことあったっけー?」


石灯籠の先端に片手をつけて、背を丸める。足元には渉、半ばその少年に被さるような姿勢で藤馬は少年の逃げ場をなくしていた。


「そりゃあさ、てめえがそーやって懇願――悲惨に無惨に惨たらしく痛ましく、泣いて喚いて叫んで、顔面崩壊ぎゃん泣きしてくれんのを待っていたわーけーだーがー。

“足りねえよ”、グズ。俺、“まだまだ笑えるんだけど”?」


声が枯れて、息が出来なくなるほど、腹が捩れるほどに笑わせてくれ。


「したら、あー、まー、叶えるかもしんねえよ?俺も、鬼じゃねえしぃ」


鬼よりもタチの悪い悪鬼がせせら笑う。


叶えるかどうかなんて分からない――ではなく、藤馬のことだ。腹の底から笑ったあとに、飽きる。もうこれ以上は笑えるネタないと見限って、見捨てることだろう。


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