中指斬残、捌断ち儀


動けぬものの戯言、されど、もうこれしかできようもなかったから。



「俺のもんなんだよっ!てめえらにやるとこなんか一つもねえ、俺のだ!てめえらの好きにさせて――」


堪るかと、おめおめ黙って傍観する気など藤馬にはなかった。


かくいう五十鈴とて同じ。先ほどから渉を離せと叫びながら、体に無理強いをさせている。


「くっ……!」


そんな二人を見ては、渉も己が力でこの窮地を脱しようと試みた。


群れてかかる手を振りほどこうと暴れてみせたが、思うようにはいかない。


耳障りな笑い声が鼓膜を破らんばかりに近づいてくる。網にかかった獲物のあがきでも嘲笑うかのようであり、実際は、


『あひゃひゃひゃひゃひゃ、ひゃひひ!』


――どこに行く?どこに行こうとする?あっちは違う、ここでいい。あっちが違う、ここでいい。無視すればいい、無視だ無視、“無視にしてあげる”!


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