中指斬残、捌断ち儀


視界を無くす。
視るものを無くし、道を閉ざそうと、影は渉を拘束し、その頭に袋を被せた。


血臭がした麻袋。
使い古された汚さを兼ね備えれば、“使用済み”であることは明白。


殺人をする呵責を消すために、苦悶する生け贄の顔を隠し、滞りなく儀式を進める手筈が一つ。


「う、あああぁっ」


それが精神に圧倒的な亀裂をつけた。


麻袋を被せられるなど普通に生きていれば体験などしない。初めて知る暗闇の色から逃げようとするも、両腕を掴まれて邪魔をされる。


五官の一つを奪われ、認識の機能に八割方を使うという視覚も失った。


無視。認識を強制的に遮断された。

目から入る情報がまったくない現状、肌の触覚がよく働いた。


そわぞわと細胞一つ一つが個々の意思を持ち蠢くような腕に、引っ張られる。


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