中指斬残、捌断ち儀


「時は曲げられない、歴史には勝てない、蓄積された年月の差は埋められないだなんてそりゃあ、“人間の常識”だろうがよ」


敗因を覆そう藤馬の体に刺さる杭が折れて塵となる。


「年月と共に増える水かさの差で勝ち負けが決まるだなんて思うなよ。てめえらの器(度量)で俺を計んな。そもそも、産まれてこの方、水かさ増やす必要なんかねえんだよ、俺は」


立ち上がった藤馬の体からは紙人形の残骸(紙吹雪)。


血の代わりたるそれらは赤く染まり、紅花の類いに見えた。


「“最初から、溜まってた”。産声あげた時から俺はてめらよりも、“いっぱいいっぱい”なんだよ」


致命傷を受けたはずが足取り軽く、ぽっくり下駄を鳴らす。


かこん、とさも満身創痍こそが間違いであるかのように小粋な音が反響する。


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