中指斬残、捌断ち儀


(三)


日の光で目を覚ました。


起きるにあたっては快適な朝であるはずなのに、体全体が重く、動く意思さえも億劫が先達てしまう。


寝起き特有の健忘に見舞われるも、中指の痛みではっとした。


「っ、う……!」


両手の中指を労ろうにも、他の四指を動かそうとすれば中指もつられて微かに力が入ってしまい自縄となった。


力を入れるだけで痛む。そうして動かずに吊られたままのような中指を見て、脱臼でもしたのかと思った。


体育の授業で突き指もしたこともないから、大げさに考えてしまうけど――ああ、ダメだ、中指の感覚がなくなっている。


付け根から上にかけてなくなってしまったかのような。もちろん、中指はついたままで痛みだけはちゃっかり伝えてくる。付け根の境界線で迷子にでもなっているみたいだ。見なきゃあるかないか分からないだなんて、かなりぞっとする。


< 976 / 1,127 >

この作品をシェア

pagetop