中指斬残、捌断ち儀
抱きしめていた我が子を放り投げ、髪をむしりながら豚小屋の柱に頭をぶつけ始めた。――舌を、噛みながら。
脳天にかかる衝撃を利用して舌を挟む歯の万力を強くしているような。水かきのようなビラ(舌下神経)が破けたところで娘は気を失った。
まだ存命ではあるが、ぱっくりと割れた額も相まって死ぬのは時間の問題であろう。
現に、それから一時間も経たずして、娘は絶命した。
父親が様子を見に来たのはその一時間後。豚小屋の惨状に腰を抜かしたそうな、絶叫もしたたかに父親はこの世においての地獄絵図を見た。
柱に突っ伏して、舌を出したまま頭から血を流す娘はもとより、豚とて一匹たりとも立ってはいない。
柱に頭をぶつけたはもとより、死んだ仲間の顔を丸飲みにして窒息死しているものもいた。