愛の囁きを[短篇]




「回覧板。お前の仕事だろ。」

「…え?」





確かに。
毎回回覧板を届けいたのはこの私。


しかも壱のお母さんにではなく、何故か壱に渡すのが日課になっていた。







「なんで来ねぇんだよ。」

「そ、それは…」





気まずいからに決まってるじゃん。
会いたくないからに決まってるじゃん。






口を開くことが出来ず、
私はただ壱の足元を見つめる。









もう会わない。
そう決めたのに。








「壱、私…」

「もう、会わないとか無理だから。」

「…!」







私が考えてることが分かるの?
まさしくその言葉を言おうとした矢先、壱が先に私の言葉を奪って言ってしまった。






「ぜってぇ無理。」


< 16 / 23 >

この作品をシェア

pagetop