★ 理想のコイビト ★
瞬間、パニック状態の俺の口許を突然片手で塞ぎながら鳩尾パンチをしてきた恭一は、悶絶する俺をいつものようにズルズルと引き摺ると、教室のとある一角、掃除ロッカーの中へと押し込んだ。



「ちょっ、恭一!」



「“うっせぇ!黙れ、タコ!!ってか、お前、無駄にデカいんだからもうちょっと奥詰めろ!!”」



「へ?」



「“だから奥詰めろ、って!”」



「“はぃぃー!!”」



もちろん、ボリュームを絞りに絞ってキレる恭一に逆らえるはずもない俺は、恭一と同じくボリューム最小の声でコクコクと頷いた。

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