女の隙間、男の作為
「あんたさー実際あの夜、どこまであたしに手を出したわけ?」
「なに?彼氏に後ろめたくなったとか?」
「彼氏じゃないし」
(なんとなくこの期に及んでそれを認められずにいるのである)
「出してないって。大きくない胸をちょこっと触っただけ」
(余計な形容詞をつけるなよ!)
「あれだけ派手に痕を残しておいてちょこっととは恐れ入る謙遜表現ですね」
ハハハと笑う隣の男に強めのジャブを入れてみたけれどあまり効き目はなかったらしい。
(残念)
「ついついカノちゃんの反応が可愛いからちゅーまでしてみたら、止まんなくなりそうで焦ってすぐにやめたって」
「そもそも寝込みを襲うなっての」
本当に男なんて下衆な生き物だ。
あの朝のコイツの熱烈な口説き文句は今だって忘れていない。
それが全部嘘だったとは、この男は副業で役者でもやっているのでしょうか。
「あんた、ぜったいろくな死に方しないよ」
「でもカノの仕事ぶりにはマジで感動したけどね。結城が惚れ込むのも納得」
“遠距離で破局したら次こそ俺とつきあろうよ”
どこまでも軽い男はヘラヘラと懲りずにそんなことを言い捨てながら、女の子達のテーブルに“営業”に出掛けていった。
どうやらあれこそがヤツの真の姿らしい。
「しかしカノがいなくなったら、誰が飲み会の最後までつきあってくれるんだ?」
既に呂律が回っていない声は敬愛する部長殿。
「部長。あたしの人事を決めたのは自分でしょ。
あたしは大いなる国でバドワイザーをたらふく飲んできますから~」
「しっかりがんばって来い」
「…了解です。部長」
店を貸し切ってくれるほどの人数が自分のために集まってくれたことを思えば、この先どんな場所でも気張っていけるだろう。
あたしにはこれだけの財産がちゃんとある。