女の隙間、男の作為
☆゜・*:.。. .。.:*・゜☆゜
「カノ、あんまり飲みすぎるなよ」
追加でオーダーしたあたしの冷酒のグラスがあたしの手元に辿り着く前に取り上げられた。
接待開始から今に至るまで何度席を変えても3分後には隣に座る男が犯人。
もちろん松岡だ。
客先の相手もそつなくこなしながら、甲斐甲斐しくあたしの世話までしていただけるとは恐れ入る。
“これ、カノのすきな砂肝ラー油和え。頼んでおいたから”
そんなオッサンメニューを好物だと発表されても!
一応未婚の乙女なのに!
(美味しくいただきましたけども)
“まだビールでいい?変える?”
“これ食べた?美味いから半分カノにあげる”
とか何とか。
90分に渡って濃やかに面倒を見ていただいたわけですけども、なぜあたしから酒を取り上げる!?
「ちょっと、返してよー」
「飲み過ぎ。また吐いてひっくり返るぞ」
決してひっくり返った覚えはないしお客さん相手の席でそこまで正体なく飲んだりしないっての。
「全然酔ってないってば。部長ー松岡くんがあたしからお酒をとりあげます!」
大袈裟に言ってみれば既にほろ酔いの部長からは“夫婦喧嘩はやめなさい”という問題発言が飛び出すし、上機嫌の取引先のおじさんからは“仲が良いねぇ”と新婚夫婦を見るような目で見られた。
「いつも言ってるのに飲み過ぎちゃうんですよ」
松岡は松岡で勝手なことを言って、あたしの冷酒に口をつけながら空いた手であたしの頭をポンポンと撫でている。
なにココ完全アウェイなんですけど!
カノさん爆発寸前なんですけど!
キっと左隣に睨みを利かせてみるけれど、一日の終わりに近い不完全な化粧の状態でそれをしたところでたいした効果は得られそうもない。
後でまたポールスミスのシャツをあたしの吐瀉物で汚してやるしかない。
(そういえば睦月のシャツを返してもらっていない。まぁいいけど)
そんな小学生じみた仕返しを胸に刻みながら冷酒の代わりに渡された“よく冷えたお水”をぐいっと飲み干した。
「カノ、あんまり飲みすぎるなよ」
追加でオーダーしたあたしの冷酒のグラスがあたしの手元に辿り着く前に取り上げられた。
接待開始から今に至るまで何度席を変えても3分後には隣に座る男が犯人。
もちろん松岡だ。
客先の相手もそつなくこなしながら、甲斐甲斐しくあたしの世話までしていただけるとは恐れ入る。
“これ、カノのすきな砂肝ラー油和え。頼んでおいたから”
そんなオッサンメニューを好物だと発表されても!
一応未婚の乙女なのに!
(美味しくいただきましたけども)
“まだビールでいい?変える?”
“これ食べた?美味いから半分カノにあげる”
とか何とか。
90分に渡って濃やかに面倒を見ていただいたわけですけども、なぜあたしから酒を取り上げる!?
「ちょっと、返してよー」
「飲み過ぎ。また吐いてひっくり返るぞ」
決してひっくり返った覚えはないしお客さん相手の席でそこまで正体なく飲んだりしないっての。
「全然酔ってないってば。部長ー松岡くんがあたしからお酒をとりあげます!」
大袈裟に言ってみれば既にほろ酔いの部長からは“夫婦喧嘩はやめなさい”という問題発言が飛び出すし、上機嫌の取引先のおじさんからは“仲が良いねぇ”と新婚夫婦を見るような目で見られた。
「いつも言ってるのに飲み過ぎちゃうんですよ」
松岡は松岡で勝手なことを言って、あたしの冷酒に口をつけながら空いた手であたしの頭をポンポンと撫でている。
なにココ完全アウェイなんですけど!
カノさん爆発寸前なんですけど!
キっと左隣に睨みを利かせてみるけれど、一日の終わりに近い不完全な化粧の状態でそれをしたところでたいした効果は得られそうもない。
後でまたポールスミスのシャツをあたしの吐瀉物で汚してやるしかない。
(そういえば睦月のシャツを返してもらっていない。まぁいいけど)
そんな小学生じみた仕返しを胸に刻みながら冷酒の代わりに渡された“よく冷えたお水”をぐいっと飲み干した。