シンデレラに玻璃の星冠をⅡ

月長石の連繋(リンク)。

それを思いついたのは偶然だった。


僕が幼少よりずっと携帯している、分身のようないつもの月長石と、芹霞がくれた月長石。


僕と芹霞の間に、まだ想いが通じ合えないというのなら、せめて石だけでも同じものを通わせたいと。


儚い希望にも似た…願いを込めて。


例えどんなに離れていようとも、僕達は必ず巡り会える。


僕達の間に、同じものが介在できるのなら、決して通じ合えないはずはないと。


それは櫂や煌のような絆にもよく似た、僕だけしか持ち得ない強い繋がりとなるはずだと。


それは――僕の祈り。


芹霞の石から感じる僕の石。

僕の石から感じる芹霞の石。


此の世でたった1つずつしかない僕達の石は、僕だけしか持たない力によって結合する。


1つになる。


僕の石は芹霞の石となり、芹霞の石は僕の石となる。


同一。



ああ――

なんて甘美な瞬間。


電脳世界では、虚数と実数の戦いが繰り広げられてはいるけれど、まだ完全に虚数支配下にあるわけではない。

数少なく頑張っている0と1をこちら側に引き出すのは心苦しいけれど、何故か僕は…0と1に祝福されているような心地になったんだ。


"オウジサマニアイヲ"


慈愛に満ちた温かさ。


電脳世界の…虚数という第三者に染まっていない、純なる0と1が…僕の中に注ぎ込まれてくる。


愛に満ちた0と1。

温かい、0と1のメッセージ。


応援…してくれてるのかな。

< 1,051 / 1,495 >

この作品をシェア

pagetop