シンデレラに玻璃の星冠をⅡ
月長石の連繋(リンク)。
それを思いついたのは偶然だった。
僕が幼少よりずっと携帯している、分身のようないつもの月長石と、芹霞がくれた月長石。
僕と芹霞の間に、まだ想いが通じ合えないというのなら、せめて石だけでも同じものを通わせたいと。
儚い希望にも似た…願いを込めて。
例えどんなに離れていようとも、僕達は必ず巡り会える。
僕達の間に、同じものが介在できるのなら、決して通じ合えないはずはないと。
それは櫂や煌のような絆にもよく似た、僕だけしか持ち得ない強い繋がりとなるはずだと。
それは――僕の祈り。
芹霞の石から感じる僕の石。
僕の石から感じる芹霞の石。
此の世でたった1つずつしかない僕達の石は、僕だけしか持たない力によって結合する。
1つになる。
僕の石は芹霞の石となり、芹霞の石は僕の石となる。
同一。
ああ――
なんて甘美な瞬間。
電脳世界では、虚数と実数の戦いが繰り広げられてはいるけれど、まだ完全に虚数支配下にあるわけではない。
数少なく頑張っている0と1をこちら側に引き出すのは心苦しいけれど、何故か僕は…0と1に祝福されているような心地になったんだ。
"オウジサマニアイヲ"
慈愛に満ちた温かさ。
電脳世界の…虚数という第三者に染まっていない、純なる0と1が…僕の中に注ぎ込まれてくる。
愛に満ちた0と1。
温かい、0と1のメッセージ。
応援…してくれてるのかな。