シンデレラに玻璃の星冠をⅡ

3人の声が次第に大きくなってくる。

俺達は慎重に近付いて…



「親父がどれだけ多くの縁者を闇に葬ったのか…櫂、お前が知らないわけはないだろう」



!!!!



「久涅…櫂が生きているの、知ってるのか!!!?」


思わず足を止めてしまった俺。

玲は険しい顔をして、やはり足を止めた。



「だけど、兄弟で殺し合うことはしてはいけないことだ!!! それは回避すべきものだよ!!!」


それは芹霞の声。


兄弟での殺し合いって…


「久涅と櫂がやりあおうと…「しっ!!!」


玲が俺の口を手で押さえた。



「親父だって堂々としている。

実の兄をその手で殺した。

俺達は…兄弟殺しの血を引いている」



愉快そうなその声。


待てよ、頭悪い俺でも判るぞ、その内容。



「玲は…父親を殺した男に傅(かしづ)いている。

そして玲をねじ伏せ、手懐けたお前は、その息子だ。

此程…屈辱的な人生もあるまい」



玲――!!!


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