シンデレラに玻璃の星冠をⅡ
「だけど…厄介になったね」
玲くんは、固い声で言う。
「レグが錬金術を成功させたかどうかは判らない。仮に成功していたとして、また、金塊を乗せた船が消えたという過去の事件。
もしも、"約束の地(カナン)"に純金が埋もれていたとしたら」
玲くんの言葉に、久遠が呼応した。
「虚数を金にぶつけることで爆発を誘発する黒い塔が、"約束の地(カナン)"に出来たのは、必然的事象…としか思えないな」
自嘲気に笑う。
「黒い塔が動く気配がないのが、せめてもの救いか」
「あのさ、久遠」
煌が頭をがしがし書きながら、口を開く。
「あの塔…暴走始めた櫂の力を吸収したんだよ」
「「え!!!?」」
驚愕に満ちた顔を煌に向けたのは、久遠と玲くん。
「久涅は、櫂の力が塔に吸い込まれるのが判っていた。だからもっと櫂が力を放つように煽ったんだ、櫂を…。
不幸中の幸いは、櫂が全てを出し切っていなかったこと。まあ…塔が今、どんな状態なのかは判らねえけど」
玲くんは…泣き出しそうな顔であたしを見て、そして辛そうにくっと下唇を噛んで、横を向いた。
「…利用されたんだな、紫堂玲」
静まり返るその空気が、凄く重くて。
久涅が、玲くんを利用したって何?
「だけどこれは――
もしも"約束の地(カナン)"に金が眠っていたらの話だ」
久遠はそう言うと、項垂れる玲くんの肩をぽんと叩いた。