シンデレラに玻璃の星冠をⅡ

――え!!!?



僕の心臓は、発作とはまた違う…嫌な音をたてた。



「芹霞、櫂だよ!!?

12年前、神崎家の隣に居た…

君が大切にしてきた幼馴染!!!


ずっとずっと一緒で、

桐夏も一緒に通っていたじゃないか!!!


それくらいは思い出してるだろ!!?」


僕の迫力に、芹霞が少し後退したけれど…



「だから――

初めて会ったんだってば。


玲くん、変な冗談やめて?


ウチの隣の家って…ずっと空家だし、

ずっと一緒に桐夏まで通ってる幼馴染は煌だけだし。


玲くん知ってるじゃない!!!


それに、何で12年前?

久遠に会った13年前と…ごっちゃまぜになってる?

でも…なんで隣?

玲くん、どうしちゃったの?

薬の副作用で、少し錯乱おこしてる?」


芹霞の顔は、冗談を言っているようなものではなかった。



「そんな…」



僕は、両膝を床につけて、ずるずると崩れ落ちた。



バンッッ!!!



櫂が…机を拳で叩いた音。

その苛立ちと怒りの音が、僕を更に切迫させた。


櫂の顔を見ることはできない。

音だけで…十分だ。


僕の…罪は――

ここまで許されないものだったのか。


僕の言葉が芹霞の記憶を奪ったのなら、僕の言葉によって芹霞の記憶が戻る…僕はそう信じていたのに。


記憶というものは、そんな簡単に蘇生しないものなのか。

心を抑圧できるまでに、強いものなのか。


だったら――

どうすれば芹霞の記憶が戻るんだ!!?


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