シンデレラに玻璃の星冠をⅡ
 

だからずっと玲くんの腕にしがみついていて。


小奇麗なメインストリートを、服を血で汚した女が、それを隠すように王子様にしがみついて歩いている、おかしすぎる光景。


道脇の店舗の磨かれた硝子に、あたし達の姿が映る度に、あまりに漫才のような滑稽すぎる組み合わせに溜息しか出てこない。


あたしは玲くんの完全艶消しだ。


それでも――


「どうせなら…腕を組もう?」


玲くんは全然気にしていないようで。

それが嬉しくもあり、気の毒でもあり。


「組もう?」


微笑んだ玲くんに誘われるに、腕に手を絡ませたけれど…やはりこれは恥ずかしい。


やっぱりこれは…。

ううっ…。


「気分がいいね、意識してもらえるのは。だけど固まって動かなくなっちゃうから、やっぱりこっち」


そしてまたいつもの恋人繋ぎ。

慣れとは恐ろしい。


こちらの方が安心する。

にぎにぎされたらにぎにぎ返す。


だけどこんなに近くに居て、

こんなに強く手を握っていても。


やはり終わってしまうという寂寥感が抜けきれない。


この"お試し"がずっと続いてくれないのかな。

明らかに、当初とは"お試し"に対する意識が変わっている。


宝石店で玲くんから逃げてきた時、

早く"お試し"を終了させようとしていたことが信じられない。


あたしは"お試し"を終わらせたくない。


何でだろう。

玲くんが結婚してしまうから?


だけど――

玲くんだって、何れかは好きな人と結婚するだろう。


あたしにそれをどうこういう立場もにければ決定権もない。


だけど、ああ…。


玲くん、結婚しないで。


"お試し"の後で結婚するというのなら。

"お試し"の終了と同時にあたしが玲くんの思い出となるのなら。


お願い。


もっとこの"お試し"を続けていてください。

終わらないでください。

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