シンデレラに玻璃の星冠をⅡ
中に入ればカップルばかり。
そのいちゃいちゃぶりは…もっと凄まじい乱れっぷりのS.S.Aで、多少は免疫がついてしまい、普通程度は軽く流せるほど"目だけ"経験値はあがったようだ。
あそこに比べれば、何だか微笑ましいね。
ああ、健全っていいね。
しかし慣れないのは、こちらに向けられる周囲の目。
王子様と歩いていれば、あたしが目立って仕方が無い。
しかもこんな血糊がついた服着てるし…。
ああ、玲くんに迷惑かけてる。
溜息をついて服を眺めていたあたし。
折角お洒落させて貰ったのに。
化粧もとっちゃってるし。
可愛さ要素なんて何もない。
素すぎて見窄(すぼ)らしいあたしは…玲くんの青いコートを羽織らせて貰って、麗しい玲くんと関係があるんですと言わんばかり。
何とかしないと…。
あたしが"思い出"とされてしまうのなら、もっと印象良くしないと…。
思い出。
ずきん。
ずっとずっと痛む胸。
結婚とか思い出とかを考えるだけで、息苦しくて心が痛むんだ。
思い出にされたくない。
ずきん。
玲くんから消えたくない。
ずきん。
そんな時。
「さあ、芹霞。速攻迅速に上に行こう」
突如玲くんが、あたしの手を引いて小走りを始めた。
速攻迅速?
あたしは――
玲くんが"見てはいけないモノ"を見てしまったのだと直感した。
何だ?
今度は何を見つけたんだ?
「芹霞、前を見ようね。余所見はしない!!」
振り返ろうとしたあたしに、少し慌てたような声を上げた玲くん。
絶対何かあるんだ。
何だ?
何があるんだ?