シンデレラに玻璃の星冠をⅡ
 
「らしくないな、紫堂」


遠坂が笑う。


「言っとくけどボクは師匠の味方だ。

だけど…久遠の仕打ちにも耐えている君の頑張りに免じて、言ってあげる。

君…あの世に、"貪欲さ"置いてきただろう?」


遠坂の目は三日月形で。


「今の気弱な君が、いつも通りの自分の姿だと思っているのなら、きっと…とうのとっくの昔に神崎奪われているぞ。

師匠にも、如月にも――」


むふふふふと笑った。


「大体さ、師匠の結婚話は置いておいて、何一つ確かめようともしないで、たかがテレビを…目で見たことをそのまま信じて落ち込むなど、貪欲な『気高き獅子』らしくないじゃないか」


ああ、俺は…。

俺は貪欲な『気高き獅子』。


「不可能を可能に変えるくらいの根性、あったはずだろ!!?」


次期当主でなくなっても、この肩書きだけは…俺自身が培ってきたものだ。

なくしてはいない。


「久遠が忌み嫌う、ふてぶてしい程の…君の毒牙はどうした?」


一度死んでも…俺は俺だ。

何1つ変わらない。


変わるものなどない。

俺は、全てを手に入れて逆転勝利する為に、この地に居るんだ。


志半ば、今からこんなに揺らいでどうする。


諦めるなんて、性に合わない。


今更ながら気づいた俺は――笑った。


途端遠坂が赤くなってのけぞった。


「紫堂の血なんて…大嫌いだ!!!

何でお色気カズンは、女より女装が似合うんだよ!!!

七瀬をイメージして君を飾ったのはボクだけどさ、だけど十分な時間をかけないで…此処までになるのなら、時間かけたらどうなるのさ。

師匠と並んだら、どんなことになるのさ!!!

ボク…女捨ててやるッッ!!!」


遠坂の思考回路は、時折よく判らないけれど…

俺の女装のことは触れないで欲しい。


ああ、恥ずかしくて仕方がないんだ。
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