シンデレラに玻璃の星冠をⅡ
 

「熱転写の要領で…光速転写、まあ…光で印刷している感じらしいよ、師匠曰く。本当に何でこんなもの思いついて、ささと作っちゃえるんだろうね」


軽い笑いが混ざったが、遠坂の顔は真剣そのもので、キーを叩く手は休むことはなく。


「やばいな、やばいよ!!! 複製(コピー)移行は失敗だ。ERRORが返った。

ハッカーか? だったら師匠並みだよ。うわ~、この緊張感、2ヶ月前に…姿形を知らぬ師匠相手に、メインサーバで闘っていた時みたいだ。防護(ガーディアン)システム起動…はああ!!? 何だこの画面!!!」


スキャナ機械にて印字させながら…大画面に目をやれば、0と1で覆い尽くされた白い画面が…猛速度で黒色になっていく。

…歯抜けのように、途中途中の0と1が、不規則な順序で消えて行く。


「うわぁ…ランダムに抜いているのかよ!!? 何だよこのアルゴリズム!!! そんなの解析してる余裕ないんだってばさッッ!!! くっそ~!!! これなら完全もぐら叩き状態じゃないか!!! やばい、やばい、やばい~ッッッ!!」


俺は機械のことは知らないが、本当に"やばい"状態なのだろう。

その時、視界に…机に置かれたままの氷皇のノートパソコンが目に入った。

!!!?


画面が…勝手に切り替わっていて。


俺は、司狼の傍らにて印字を見ていた旭の腕を掴んで、俺の代わりに印字をさせ、パソコンに飛びついて眺めた。


同じだった。


大画面と同じように…いつの間にか画面は0と1だらけのものとなっていて、ランダムに0と1が消えて、黒い領域が増えていく。


何故だ?


もしも第三者による外部的侵入が、"データ喰らい"という異常性の起因だとしたら、何故ネット回線を外して完全に独立したローカル状態であるこのパソコンまで、同じ現象が起きている?


大体、レグの機械からは、ゲーム大会の一件の際、回線を抜いたまま。

外部と繋がっているのは、テレビだけの状態。


白を凌駕する黒の領域。

貪欲に…白い数字を食べているような錯覚。


黒がまるで増殖しているような…


増殖…"TIARA"


思わずその言葉を思い出してしまった。

< 605 / 1,495 >

この作品をシェア

pagetop