シンデレラに玻璃の星冠をⅡ
「何、行く先々…あたし達狙い撃ち!!?
わざと!!? ねえ、わざと!!?」
芹霞が涙声で言うけれど。
僕達は、勝手気ままに行動していたわけじゃなく。
それすら見越して塔を出現させたとは到底思えなかった。
――あははははは~。
規模が大きすぎるから。
だとしたら?
大体、僕達はAPEXからTBSに…。
「おいおい、此処は…
フジテレビ(CX)があった場所じゃないか!!!」
三沢さんが叫んだ言葉に――
僕の脳裏で点在していた点と点が繋がった。
「APEX、TBS、CX…
テレビ局のある場所に…
黒い塔は出現しているのか」
そして――
「東京タワーは東京の電波塔だね。
これは――
偶然なんだろうか」
偶然ではないだろうと、僕の直感が言っている。
「だけど…何でテレビ、車で見れたの!!?
テレビ局が潰れてるのに!!?」
「だから…あの塔が必要なんだよ」
多分――
「テレビ局代わりの"周波数"を流しているのか!!?」
僕は頷いた。
映像も"電気"なれば。
"0"や"1"であろうと"i"であろうと…電気として今まで通り機能するならば。
今まで通りの電波が通っていてもおかしくない。
スタジオの生番組は、流石に…無理があるけれど。
そう言えば、『流行とびつき隊』はどうなったんだろうか。
まあいい。
それは今考えるコトじゃない。
「この塔――。
正規の…既存の"0"と"1"が塔に誘導されているのだとすれば。塔は"0"と"1"を取り込んで、"i"を放出しているんだ」
ああ…速度は緩やかだけれど…
此処まで近くに居れば感じる。
生み出される"虚数"の存在を。