シンデレラに玻璃の星冠をⅡ
「対象物に集中的な"i"をぶつければ、電磁パルスとなり爆発出来るとしたらね、
何だかあれが砲撃台のように見えてこないか?」
静まり返る。
そして――
「東京の"0"と"1"を取り込んで、"i"のレーザービーム発射!!?」
三沢さんは大声を上げた。
「レーザービーム!!?」
芹霞は別の意味で声を上げた。
僕は"砲撃台"って言ったんだけど…。
煌もそうだけれど…神崎家の住人は、そうした派手な武器に反応する。
緋狭さんの影響なんだろうか。
夜目だからよく判らないけれど…
きっと目をきらきらさせているんだろうな。
「お前さん…そこまで強く"i"の気配を感じていたか?」
「いや、僕の力が使えないことで初めて虚数を感じた程度だ。虚数がテレビの周波数に成り代わって存在していると気づいたのも、あくまで推理の結果で感覚ありきじゃない」
考えてみれば――
東京に複数塔が出現して、虚数がこんな程度だっていうことがおかしい。
虚数が調節されているのか?
実際の変換した莫大な量は、あの塔に蓄えられている…としたら?
テレビの周波数を模倣して、本物の電気のような顔をする虚数。
僕がコードを解釈できない本当のぎりぎりの量で、密かに蔓延していた虚数。
それは僕にとってもどかしい程、絶妙な…最低ラインの気がする。
塔から放たれているのは必要最低限に保たれているのだとしたら。
それは何故?
来るべき刻を待っているのか?
それは何処までも推測でしかないけれど。
「何かを一気に爆発させる為に、あの塔が出来ていたのだとしたら?
どのタイミングで何を爆破したいのか判らないけれど…」
何一つ確証はない。
そんな時――
バリバリバリ…。
上空に鳴り響くヘリの音。
1台のヘリが上空を通り過ぎるのを見た。